都市再開発
小さな土地を、大きな街に。
苦境が育てた、
独自の「土地を創る力」。
会社の収益源は、たった3棟のビルだけ。それは、「住友不動産」が総合デベロッパーとしての歴史を歩み始めた頃のこと。まとまった土地を都心に所有する競合他社とくらべて経営資源が限られていた当社の“街づくり”には、他社にない工夫や努力が不可欠でした。お金もない、土地もない。周りを見渡してみても、当社が買えそうなまとまった土地もない。そんな厳しい状況下で生まれたのが、「小さな土地を一つひとつ買い集めて、広大な街を創る」という独自の方法です。それも、社員自らが地権者様を訪ね、信頼と合意を得ていくスタイル。木造家屋が密集しているエリアの中から、開発することで地域発展をもたらすであろうポテンシャルのある場所を探し、少なくとも数十名、多い時には100名以上の地権者様と合意形成を進めながら開発を行ってきたのです。広大な土地を持っていない私たちだからこそできた手法でした。

何よりも地域の想いに寄り添うことを大切にするため、用地取得、商品企画、管理運営などを一貫して自社で担い、ときに30年という時間をかけて1つのプロジェクトに取り組むことも。どんな時も地権者様一人ひとりの声に耳を傾け、地域と協力しながら、長期的な視点で、つまりサステナブルな都市開発を進めてきました。この「メーカー型の総合デベロッパー」としての地道な努力の積み重ねのことを、他社の追随を許さない、住友不動産の大きな強みの一つである「土地を創る力」と呼びます。こうした住友不動産の再開発の目標は、人々で賑わう華やかな場所をつくることだけに留まりません。木造密集地の災害対策強化や道路等のインフラ整備を通じて、長期的に安心安全な街づくりをも実現してきました。木造住宅密集地に暮らす地権者様の中には、消防車も入ってこれないほど細い道による火災への不安、大雨時の崖崩れの心配、有事の際の避難場所もない心細さなど、様々な問題を抱えているケースも少なくないからです。地権者様としっかりと向き合ってきた私たちだからこそ、都市開発の真の社会的必要性の大きさを知っている。ただ街を大きく、新しく、華やかにするだけではない、住友不動産が取り組むことによって長期的、持続的に価値が高まる街づくりを今後も推進していきたいと考えています。



住友不動産の再開発実績
六本木、西新宿、飯田橋といった東京都心部を中心に全国42ヶ所。
建物延床面積は約339万㎡(2024年3月末竣工済まで)もの実績を誇っています。
六本木一丁目西地区
(泉ガーデンタワーほか)
閑静な緑地と、賑やかな
オフィス街とが共存する街へ。
約100名の地権者様が港区・東京都と話し合いを進め、「開かれたまちづくり」をコンセプトに実現した、六本木一丁目西地区の再開発。幹線道路と首都高速道路に挟まれていたこの地は最大20mもの高低差がある傾斜地で、道路は狭く、地域としての一体性・連続性に乏しい状態でした。そのため、開発以前においてはビジネスや商業での土地利用がなく、老朽化した木造密集家屋も密集。防災性や住居環境の面から改善が必要でした。着眼したのは、街区ごとに異なる表情。都心部にありながら閑静な尾根道沿いのエリアは、豊富な緑地を保存しながら美術館などを整備した「緑と文化」の街に。幹線道路側のエリアには、新たなシンボルとなるオフィス棟などを集約し、地下鉄駅とオフィス棟とを一体化させるなど、洗練された街に。それぞれの街の特性を活かしながら、賑わいのある街づくりを実現しました。


西新宿八丁目成子地区
(住友不動産新宿グランドタワー)
西新宿の一角に、
賑わいと安心を再び。
かつて、商店や映画館が並び、多くの人で賑わっていた「成子坂上」と呼ばれる地区。新宿副都心の発展と対照的に、その機能や活気が徐々に弱くなっていったエリアです。かつて栄えたこの地域には、空家が多くなったことによる防犯面での心配、密集した木造建物や狭い道路による地震・火災などに対する不安が、居住者の間で広がっていました。そんな中、地元地権者様からの声もあり、「住み続けられる安全・安心のまちづくり」がスタート。再び賑わう街を目指して、都心らしい多様な暮らしのニーズに応える住宅や店舗のほか、「憩いの場」としての役割と歩行者の安全性・利便性とを両立する広場、災害時には周辺地域の方々の防災拠点となるイベントホールなどを配置し、安心・安全な街へ。「成子坂上」の賑わいが、また新しいかたちで生まれています。

