京都府京都市東山区
本計画地は、京都東山の住宅街の中に位置しており、小規模の木造住宅が立ち並ぶ。そのため、大きいボリュームを建ててしまうと街並みを崩し、周囲の景観を損ないかねない。このような事態を回避するために、本計画では、京都の街並みデザイン要素を分析し、京都に古くからある水平を基調とした小スケールの集合体のデザインを引用した。奥行き感があるガラス塀により、建物壁面が隠れ、庇が強調されることで、建物が宙に浮いたように演出し、視覚的にボリュームを軽減。また、薄く長く伸ばした庇と随所に繊細な木ルーバーを用いることで、景観に馴染み伝統的な京都の街並みと共存するマンションを実現した。
京都のような伝統的な意匠が期待される場所で、マンションと呼ばれる大規模な建築がどのように既存の街並みと調和をはかるかは、常に問題になるテーマであるが、細い軒を出して水平線を強調し、木ルーバーのような伝統的な言語に近いものを使ってボリュームを分節するなど、均整のとれた好感のもてる外観に仕上がっている。軒天の木も印象を柔らかくしており、中庭のデザインも落ち着いた丹精なものとなっている。全体に完成度の高いものとなっており、伝統的な街並みとの共存を目指したものとして評価できる。
受賞番号 | 19G131015 |
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受賞対象名 | 集合住宅/ラ・トゥール京都東山 |
部門/分類 | 中~大規模集合住宅 |
所在地 | 京都府京都市東山区 |
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総戸数 | 52戸 |
構造 | 鉄筋コンクリート造 |
階数 | 地上5階建 |
竣工 | 2018年8月 |