2012年度受賞

S-マルチコア

機器のみならず、各種配管も敷設した集中設備コア。

マンション外廊下の美観・快適性のうえで不快要素となっている室外機やメーター類の設備機器をひとつのシャフトに格納したマルチコアの提案である。
機器のみならず、各種配管も敷設した集中設備コアで、外廊下の屋外側に配置して建物の外観を特徴づけている。玄関周りを整然とさせることに加え、躯体を貫通するパイプシャフトを減らすことができ、建設時・設備更新時の工事の簡略化と、間取り変更の設計自由度向上が期待される。生活環境・外観の向上と、建物のライフサイクルコストの低減、長寿命化を同時に実現させる仕組みであり、良質な住宅頒布を標榜するデベロッパーとしての使命性を帯びた開発と位置づけている。

エアコンの室外機、室内機からの配管屋雨どいなど、外廊下仕様のマンションの玄関周りには、普段の生活から遠ざけたい要素が多い。これらが露出している限り、いくら配慮を行っても不快な印象はぬぐいきれない。マルチコアによってこれらをまとめて生活領域の外に出すことにより、生活環境を改善した。
外部に対しては下層から上層まで連続する垂直のモチーフが連続することによってリズミカルな印象を生み出しており、建物の意匠を特徴づけている。概して無配慮になりがちな外廊下型マンションの外観に対し、改善を試みている。

寿命の異なる建築躯体と設備配管類を構造的に切り離すことにより、配管工事が他の建築工事から独立する。このため工程管理を行いやすく、より効率的な工事が行える。また、設備配管およびメーター類をコア内に納め、住戸側のメーターボックスを排除したこと、さらに室外機を住戸側から移動させたことで、住戸周りの大きなボリュームがなくなり、採光用の窓を大きく取れるなど設計上の自由度が高くなった。より居住者の生活に配慮した住戸プランを検討することが可能であり、家族構成の変化に伴う将来の間取り変更に対しても、融通性の高い建物とすることができる。

従来

住戸ファザード面に大きなボリュームが置かれており、可能な間取りは限定されてしまう。

S-マルチコア

住戸ファザード面の自由化

住戸ファサード面から大きなボリュームが除かれる。開口部を大きくとることが可能。

将来対応

開口部の位置に制約を受けないので、改修時に大胆な間どり変更を行うことも可能である。