東京都渋谷区
都心部の小規模保育園は設置義務がないことから、園庭を計画しないケースも多い。本計画では、高層マンションだからこそ確保可能な公開空地を「子供たちが安全に遊び回れる園庭」にできると考え、ビル風を軽減する「防風リブ」を用いながら、回遊性の高い空間をデザインした。一般的なビル風対策は、建物の平面形状の角をなくすことが有効であるが、垂直リブを設けることで、風速をより減衰させることを実現した。ビルが密集したエリアにおける公開空地だからこそ風環境に配慮した建物とし、心地良い場所を提供している。
公開空地制度によって緑地は整備されるものの単なる美観向上にとどまってしまっている場合が多い。それに対して、1階に計画する保育園の園庭として公開空地を積極的に生かしていこうとする本プロジェクトの試みはまず評価できる。またプログラム上の提案にとどまらず、高層ビルからのふきおろしの風を軽減させる外観デザインの工夫と一体で考えている点も重要である。高層マンションの足元の活用を真剣に考えると、それは配置計画や外構計画という部分的問題ではなく建築デザイン全体の問題であることが示されているのだと思う。
受賞番号 | 19G131017 |
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受賞対象名 | 共同住宅/シティタワー恵比寿 |
部門/分類 | 中~大規模集合住宅 |
所在地 | 東京都渋谷区 |
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総戸数 | 310戸 |
構造 | 鉄筋コンクリート造 |
階数 | 地上23階建 地下2階建 |
竣工 | 2019年3月 |