東京都豊島区
都市部の集合住宅は地域コミュニティに入るきっかけが少なく、孤立する事が近年の社会問題です。この問題を解決するため、自然と地域コミュニティに入れる場を生み出すことを目指しました。着目したのは保育園の行き帰りなど、雨や陽射しを避ける「日常の中でふと足を止める瞬間」です。半外空間を屋外に表出させ、街をほのかに照らす行燈のような「庇」は、木質感の高い素材を使用し、温かく繊細な意匠を凝らしています。集合住宅の利点である余白を集約し、コミュニティ・ベネフィットにより生み出した「街の軒下」として地域に開放することで、地域住民とマンション住民の「交流の架け橋」となる、居心地の良い場となるようデザインしました。
東京都豊島区の中低層の建築が建ち並ぶ住宅地に、敷地面積1,656.47㎡と周辺より大きな敷地で建物を15階と高層にし、92戸の住戸を配した高層集合住宅である。道を挟んだ向かい側には2階建ての保育園があり、近接するように建物を建ててしまうと保育園の園庭に光が入らないので、建物を高層とし住戸数を確保しながら道からセットバックし光の入るボイド空間を確保している。そこに道路と並行に開かれた深く長い平屋の軒下空間を計画し、機能としては駐輪場と住戸玄関へ至るアプローチ空間として、歩道と繋がるオープンスペースとなって周辺環境の向上に貢献している素晴らしい計画である。平屋の駐輪場兼アプローチ空間は歩道に沿うように長く建物の高さを低く抑えることで、周辺への圧迫感を軽減し、水平に広がる自由な趣の場となっている。集合住宅開発の利点である「余白」を巧みに集約し、住人や周辺の人々に貢献する計画は街を良くする優れた理念で、今後の展開が期待されるところである。
受賞番号 | 23G131018 |
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受賞対象名 | シティハウス池袋 |
部門/分類 | 建築(中~大規模集合・共同住宅) |
所在地 | 東京都豊島区 |
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構造 | 鉄筋コンクリート造(一部鉄骨造) |
階数 | 地上15階 |
戸数 | 92戸(非分譲住戸5戸を含む) |
竣工 | 2021年12月 |