弁護士
不動産分野における“法律のエキスパートチーム”。現在は弁護士4名、司法書士有資格者/業務職/事務職各1名の体制で住友不動産グループ全体の企業法務を担っている。
大規模な法定再開発から、個人のお客様の住宅まで。当社の幅広い不動産事業において法律の専門家の存在は必要不可欠です。私たち法務課は、社内からの各種法律相談、トラブル案件対応、顧問弁護士の先生との連携などを通して、当社グループ全体を法的側面から支えています。
法律事務所の勤務弁護士とインハウスローヤーの大きな違いの1つは、事業への関わり方です。例えば勤務弁護士の役割は、スポットで受けた相談に対して回答やアドバイスをすることに留まります。しかしながら企業法務には、より事業(現場)に近い立ち位置でサポートをしていくことが求められています。事業の検討段階から携わり、関連部署とも連携しながらアイデアを出し、対応策を実行、完遂までを見届けること。
5年、10年という長いスパンで関わった事業が竣工を迎えた瞬間の達成感は、筆舌に尽くしがたいものです。自分の仕事の成果を「街の発展」という目に見えるかたちで実感できることは、企業法務ならではの充実感をもたらしてくれます。
また、クライアント次第で仕事が増減する事務所の弁護士と異なり、企業に所属し安定して仕事を遂行していくインハウスローヤーは業務量のコントロールがしやすいことも特徴です。メリハリをつけながら帰れるときは定時で勤務を終え、多くのメンバーが充実した毎日を送っています。
当社が手掛ける物件は、オフィスビル・マンション・大規模商業施設など多種多様です。そのため、法務にも不動産デベロッパーに関する広く専門的な法律知識が求められることになります。新規事業で求められるアイデアやトラブル時の再発防止策などは、会社に所属し、事業や現場を熟知するインハウスローヤーだからこそ効果的なものが考えられるのです。
しかし、当社の法務パーソンとしてスタートを切る上で、不動産関連案件の業務経験は必ずしも重要ではありません。実際に現在の法務課には、以前は医療系の法律事務所で勤務しており不動産業界は未経験だったメンバーも所属しています。
私たちが大切しているのは事業や現場に関心を持ち、コミュニケーションを欠かさないこと。課内では毎朝定例のミーティングを行い、それぞれが担当している案件について報告や相談をする時間を設けています。経験や知見の豊富な上長や先輩たちからのアドバイスを全員で共有しながら知識を吸収し、総合不動産デベロッパーのインハウスローヤーとして経験を積み、マネジメント層へキャリアアップも含めて成長していける環境が整っています
「受けた法律相談の回答だけすればいい」と受け身でいては当社法務の責任を果たすことはできません。もちろん事業計画の支障にならないようスピーディーに業務を進めることも大切ですが、相談部署からの質問に対し「法的リスクあり」と表面的な回答だけをするのではなく代替案を提示するなど、それが最善の対応なのかを常に意識しています。
住友不動産では、関連部署が意見を出し合い、連携しながら最善の対応策を考えていきます。例えば、羽田空港直結の大型商業施設「羽田エアポートガーデン」の開発事業は、空港敷地内の広大な土地で何をするかという検討段階から法務にも相談があり、関連部署と連携して試行錯誤を重ねた事業です。また、竣工までの限られた時間のなかで運営規則の策定やデジタルサイネージの契約など、担当者と連携しながら法律・契約上の詰めの作業を取りまとめることで、事業計画がスムーズに運ぶようサポートもしています。
インハウスローヤーが担う社内の役割は年々拡大しています。その象徴が現在当社が進出しているインドでのプロジェクト。
今後は今まで以上に法務課全体として新しい分野や課題に対して挑戦していくことが求められます。そこには、年次や立場の違いは存在しません。「妥協せず考え抜く」という、当たり前に思える“凡事”の徹底が、当社の事業を支え、「街の発展」を実現するのです。